おぼえがき。

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【下天の華】羽柴秀吉,森蘭丸 感想

お久しぶりの下天感想。今回はPSP版で攻略していた二人です。前回のプレイから数ヶ月空いてしまったので初めから攻略し直しました。

秀吉も蘭丸も、あまり自分に刺さるタイプのキャラではないだろうなと思っていたんですが、どちらのルートも「やってよかった!」と大満足で終えられたのを覚えています。特に蘭丸は可愛くて仕方がなかった。当時の私にあまりにも刺さったんでしょうね、私のPSPの壁紙は蘭丸のスチルです。

 

秀吉ルート

秀吉は一見すると軟派でちゃらんぽらんなチャラ男なんですが、実際は周囲をよく見ていて、しっかりとした自分の考えを持っている人です。したたかな一面もあると思う。

このルートの特徴は、主人公の正体が忍びであることが早々に秀吉にバレることですね。そこからは主人公が秀吉を警戒しつつも、彼と交流するうちに人として成長していく様子が丁寧に描かれていると思います。

 

生まれ故郷を出て様々な職を試し、そこから自分のやりたいことを見つけて武士になったという彼が、今の生き方は自分に合っているのかと主人公に問いかけるシーンが好きでした。秀吉は自分がそうであったように、彼女にもやりたいことをやり、生きたいように生きてほしいのだと思います。

主人公は根が優しすぎて、はっきり言ってしまえば忍びには向いてないんですよね。しかし忍びとして生まれ育ったため、それ以外の生き方など考えてはならないという風に思っている、というのが苦しい。

 

また、正体がバレているにも関わらず彼が主人公を城に突き出さないのにもきちんと理由があり、それは彼の過去にも関わっているのですが、それが語られるシーンはなんだかじんとしました。秀吉を情け深いと評する主人公に対して、そう思うのならずっと情をもって接して生きたいと言う秀吉。

手を優しく握って、彼女のことを思って話してくれるんですが、これは信長様暗殺の命を受けた後のイベントなので切なくて、罪の華エンドのことを考えるとちょっとしんどかった。

 

罪の華エンドでは主人公が放った火が原因で秀吉が失明してしまいます。

絶望する主人公に「自ら命を絶つな」「これからの人生は自分が預かるから、自分の目になって生きてくれ」と言う秀吉。秀吉の視力自体は徐々に回復していっているのですが、それを主人公には告げずにそのまま側に置いて飼い殺す、というなんとも薄暗い内容でした。恋愛エンドの方では「本気でやりたいことが見つかった時には自分の元を去ったっていい」と言う秀吉が主人公を自分の元に縛りつけるというのがなんとも言えない気持ちにさせてくれますね。

「こっちにおいで」とか「...かわいそうにな」とか短い台詞なのに聞いててヒエッ...となりました。

冒頭でしたたかな一面も、と書きましたが、それでも他者を信じる優しさが彼の本質であると思うので、そんな人を裏切ってしまったという罪悪感を主人公を通しプレイヤーにも感じさせる大変後味の悪いシナリオ。素晴らしかったです。

 

恋愛エンドは、みんなの前で求婚されて大騒ぎになってしまい、兄様に呆れられつつもこれからは秀吉と共に新たな道を歩んでいく、という内容。終盤のほたるはずっと苦しそうだったので、二人とも幸せそうで大満足です。

エンドロール後、二人で秀吉の故郷にお忍びで向かう途中もとにかくイチャイチャしてて甘かった。

 

蘭丸ルート

秀吉と同じく2度目の攻略ではあるけれど、大いに萌え転がらせてもらった。

蘭丸は兄様に対して色々と思うところがあるらしく、妹として城にきた主人公のことも初めはバリッバリに警戒してくるんですが、交流していくと割と早い段階で心を開いてくれるんですよね。そこからは結構ちょろくて、姫に好意を向けているのが周囲にバレバレなのが可愛いキャラです。

 

特に好きなのが簪のイベント。 二人で市に出かけた際、店主から色々とおすすめされるんですが、蘭丸は「姫様の良さを全然わかってない!」「簡素な簪でこそ姫様の美しさが引き立つんだ!」と自分が姫に似合うと思った物を選んで贈ってくれるんですね。その様子を店主に冷やかされて焦る蘭丸がとても可愛かった。その後も、女性に贈り物をしたという事実が照れ臭くて「誰もいない部屋でつけてほしい」とか言ってくるのがまた可愛くて良い。

 

信長暗殺の命を受けた頃、光秀が謀反を企てているという噂が城内に広がり「光秀の気持ちを変えてはもらえないか」と蘭丸に頼まれるのですが「妹である自分が兄に加担するとは思わないのか」という主人公の問いに対して「姫様を信じている」と言い切ります。

私は彼に対して基本的にどのイベントでも可愛い可愛い言ってますが、要所要所でビシッとキメてくれるのでかっこいいなとも思います。蘭丸のまっすぐな思いにグッとくると同時に、自身が蘭丸を騙していることに苦しむ主人公の気持ちが伝わってくる良いシーンです。

 

罪の華エンドでは鳳像に火を放った直後に蘭丸に見つかり、捕まります。そしてその騒ぎの間に信長様が別の曲者から襲撃されてしまう。

姫に対してあれだけ好意を示してくれていた蘭丸が怒りや憎しみを向けてくるというのはかなりつらいものがありました。

その中でも主人公がみた夢の中での

「お前のせいだろう!!

   お前さえいなければ信長様は......っ」

目覚めた後の

「......今、どんな気持ちだ?

 悔しいか、それとも

 罪が軽くなった気がして嬉しいか!?」

この2つの台詞は島崎さんの演技が特に素晴らしいなと思いました。まさに迫真の演技。

1つ目は蘭丸から向けられる気持ちが今までのものとは一変してしまったというのをいやでもわからせてくるし、2つ目は初めは静かに恨めしげに話してるんですけど「嬉しいか!?」の部分でガッと怒りをぶつけられるんですよ。めちゃくちゃ怖かった。信長様が負傷する原因を作った主人公への憎しみでいっぱいの蘭丸ですが、「姫」に心惹かれていたことも本当で、同じ人間に対して相反する感情を抱いているというのはとてもしんどかっただろうなぁ...。

そこから数日経ちますが、主人公は食事もろくに取れず、自決も禁じられ、眠れば悪夢を見て、起きている間は罪の意識に苛まれる、という状況でどんどん衰弱していきます。そんな中、蘭丸が地下牢に現れて優しく語りかけます。そして抱きしめられ、最後は口づけをかわしながら心臓を刺される、というストレートにしんどい内容でした。

憎しみ、そして愛しているからこそ最後は自分の手で、という気持ちでこの行動に出たのかなと思うとしんどい。苦しみから救ってあげたいという気持ちもあったのかもしれないけど、蘭丸自身も尋問前の咎人を殺したということで罪に問われるだろうし、愛する人を自ら手にかけたことでこの先苦しみ続けるのでしょう。

 

恋愛エンドは、主人公が里をでることを許してもらう代わりに織田と伊賀が和睦を結ぶ。主人公は蘭丸の元へと戻り、二人で「生きて」いくという内容。

本能寺での戦いの後、主人公がプロポーズともとれる台詞を言うのですが、その後「然るべき時がきたらその時は自分から申し出る」と言ってくれるんですよね。その約束をエンドロールの後で果たしてくれる蘭丸、好きです。

 

 

ということで秀吉と蘭丸ルートの感想でした。攻略したことがあったとはいえもう年単位で前の話なので新鮮な気持ちでプレイできて楽しかったです。

次は誰にしようか迷っていましたが、信長様にいこうかなと。信長様と兄様はかなり期待値が高いので両方とも楽しめるルートだといいなと思います。