おぼえがき。

乙女ゲー感想中心 ネタバレ配慮少なめ

【陰キャラブコメ】つがい(番井孝人)ルート 感想

とんでもないゲームに出会ってしまったなぁと思った。

 

joseff0414.booth.pm

 

先日、このゲームの実況を観て衝撃を受け「これは自分でもプレイせねばなるまい」と思い購入しました。

簡単に説明すると、陰キャを愛する女子大生の主人公がひょんなことから陰キャ男子のみで構成されたゲーム同好会の会長になるところから始まる同人乙女ゲーム

たしか実況を見るより前に公式の告知ツイートか何かを見かけた記憶があって、その時はコメディ全振りなシナリオかと思っていたのですが、全くもってそんなことはなかった。メンバーにはそれぞれが抱えている闇があって、シナリオは結構重たいと感じました。

 

以下より感想。ばりばりにネタバレしているのでご注意ください。

 

さて、今回攻略したつがいさんですが、このゲームの購入を決めた理由の9割が彼と言っても過言ではありません。攻略前に実況でエンディングを1つ観てはいたのですが、自分の手でちゃんと攻略したくて早速突撃しました。

ゲーム内でも言われている通り、つがいさんはアクの強いメンバーばかりの叡ゲ同の潤滑油のような存在で、出会った時から主人公にずっと優しくしてくれる人です。ただ自分自身の話はなかなかしてくれなくて、そんな彼をもっと知りたいというところから個別ルートが始まるのが好きでした。

仲良くなりたいけれどうまく距離を縮められず、ある日彼の名前で検索をかけてしまったことにより、つがいさんがタカヒトの名で炎上系の配信者として活動していることを知ってしまいます。共通ルートでそれはもうメロメロになっていたため、初見時はかなりショックを受けました。

主人公もショックを受けていたようで、一時はつがいさんと気まずくなってしまいます。しかし同好会メンバーとの会話から「とにかく謝って、相手が望まない限りは深入りしない」と決め、一度2人でじっくりと話し合うことに。ここでタカヒトをやっている理由だとか、つがいさんが自分のことをあまり話さずに一歩引いたところにいた理由なんかも聞けます。

話し合いのラストで「活動を続けてもいいか、やめたほうがいいか」とつがいさんから問われるのですが、ここは実況を観た時もプレイ中もかなり考えさせられたシーンでした。この選択肢はおそらく分岐に一番大きく影響しているもので、後述しますがこれを踏まえたBADエンドはかなり苦しいものでした。

ここで腹を割って話したことで気まずさが一旦解消されたのは良かった。この後2人でご飯を食べにいくのですが、この時の台詞が別シーンの会話とかかっていたのがめちゃくちゃ好きでした。

 

そこから少し経ち、秋の学園祭に向けた準備をすることに。出し物はサクッと決まり、つがいさんと一緒に買い出しに行くのですがこのシーンの会話もすごく良かったです。ソシャゲの話とか、一緒に出かける話とか、つがいさんの方からも話を振ってくれることで2人の仲が進展しているのがわかって嬉しい気持ちになりました。

つがいさんの口角が上がっている描写があったけど私の口角も上がりまくっていた。読んでいて苦しいシーンもあるけれど、乙女ゲームとしてしっかり面白くて本当に良いゲームだと思います。

 

つがいさんルートのエンディングは2種類。以下より回収した順番に感想。

エンディング「再生」

このエンディングでは、いろいろと言いつつもつがいさんが今でもタカヒトを続けている理由がしっかりと語られます。

私個人としてはやっぱり活動内容が活動内容なので配信者としての彼とはあまり関わり合いになりたくない気持ちが強いです。クリアした今も「炎上系でさえなければな...」と思ってしまう時があるし、できるのであれば活動を辞めてほしいとも思っている。

でもそもそもタカヒトはつがいさんの一部であり、タカヒトとしての人格を有しているからこそ私が萌え転がった「言うつもりはなかったのにポロっとキザなセリフで告白しちゃった」というシーンが成立するので、難しい。

ただ、告白スチルがつがいさんが前髪をあげた状態で眼鏡をかけているというものだったことで『タカヒトはつがいさんの一部』というのをより感じられて、それがものすごく良いなと感じました。このスチルがあるからこそ、ゲーム内ではあくまでも『タカヒトを辞めるかどうかは彼次第』で留めておいて今後はプレイヤーの想像に委ねられているところが響くのだと思います。

 

エンディング「BAN」

最後にスチルが出てこなかったのと内容が内容なのでBADエンドという扱いでいいのかな、と思っているのですがどうなんでしょう。

 

このエンディングは回収したときの衝撃がすごかったです。展開もそうなんですが、文章がすごく上手いと感じました。彼が何を考えて、どういう思いで行動していて、主人公にどうしてほしいのか。読んでいて少し気分が悪くなったくらい、演出や表現が見事だった。

主人公に肯定されるため、周囲にタカヒトをバカにされないため、どうしたらいいか考えたつがいさんは「数字を増やす」ことを第一に活動しはじめます。普段の彼の行動には自分なりのルールがあり、タカヒトとしての活動にもそれは適用されていたのですが、数字のためにその自分ルールを捨ててしまった彼は、とうとう自分が動画で取り上げた相手を自殺に追い込んでしまいました。

同好会メンバーの発言、ネット上のコメント、たくさんの言葉がタカヒトの、つがいさんの心を容赦なく抉っていき、どうしたらいいかわからなくなった彼は主人公に縋ります。

今話しているのはタカヒトなのか、つがいさんなのか。主人公にも本人にもわからなくて、テキストウィンドウの名前欄もころころ変わっていく。この一連の描写が本当に本当に苦しくて仕方がなかった。

あとはなんといっても主人公が恐ろしかったです。つがいさんを押し倒して「神はいなくても私がいますよ」「ずっと一緒にいましょうよ」と囁いて依存させる。このシーンはスチルの差分で絶句しました。絶対この後部室でやることやったんだろうな…わぁ………。

 

その後、タカヒトは主人公とカップルチャンネルを開始。視聴者は離れていき、低評価は増えていく。それでも彼女がいるから幸せで、彼女といる時は安心できる。だからこれでよかったんだ。

このエンドの何がキツいかって別に主人公はつがいさんのことそこまで好きじゃなさそう(だと私は感じた)で、そう遠くない未来につがいさんは捨てられそうなところですね…。そしたらもう本当につがいさんは生きることをやめてしまうんじゃないか、と想像して苦しくなりました。

チャンネルの方向性もそれまでの炎上系の暴露動画とは別ベクトルに下品で過激(主人公の指示っぽい)なのもゾッとする。それまでの描写からするとネットリテラシーや危機感がしっかりあったっぽい主人公が普通に動画で顔出ししてるようなのもまた恐ろしかった。どうしてしまったんだ…。

 

とんでもねえものを見たな…としばらく放心してしまいました。それくらい畳み掛けがすごかったエンディングでした。

タカヒトとBADエンドに関してはいつか咀嚼を終えて飲み込める日がくるのだろうか。くると良いなと思います。

 

 

いや〜〜〜〜すごいゲームだった。本当に。これがあと3人分残っていると思うとワクワクします。

次は作中で「失礼の具現化」と称されるだいだいくんに突撃しようと思います。