おぼえがき。

乙女ゲー感想中心 ネタバレ配慮少なめ

【下天の華】百地尚光,織田信行 感想

師匠ルートで信行様のことが気になったので時間を空けずに攻略。どちらのルートも楽しめました。

 

師匠ルート

個人的に師匠の微笑んでる立ち絵と正面を向いている立ち絵がすごく好きで、表示されるたびにニヤニヤしていた。

師匠ルートは初めから主人公の師匠への好感度がカンストしており、修行の合間に過去を思い出すイベントが挟まる形で展開していくルートだったのであまり自己投影する隙間がなく、少し置いてけぼり感がありましたが、一つの物語としてとても好きなルートでした。

常に主人公のことを気にかけ、彼女が悩んでいるときには声をかけて道を示してくれる師匠はとてもかっこいいし優しい。

しかし師匠も自覚していますが、師匠は主人公のことを甘ったれだと言いながら彼自身も自分の言うところの甘ったれなのがいいですよね。「忍びはこうあるべき」と考えていても主人公を殺せという命令はきけなかったり、主である信行様のことをかなり気にかけていたりとか。

他のルートではどちらかといえば主人公が相手に翻弄されているような印象がありましたが師匠のことはガンガンに振り回していたように思います。愛の言葉が情熱的。

師匠が主人公に川で背中からとびつかれているスチルが可愛くて好きです。

 

罪の華エンドは、牢に囚われたところを師匠に助け出され、二人で逃亡。里での生活のような平穏な時間を過ごすことはできず織田からも伊賀からも命を狙われることとなるという内容。

「お前の命は誰にくれてもやらない

 織田にも、里にも...天にもだ」

私は「この人を自分以外の誰にも殺させはしない」みたいな関係性やセリフが好きなので、たいへん刺さりました。

 

恋愛エンドは、安土での任を続けながらも主人公は時々師匠の元へ通っていて、そんなある日の日常が垣間見えるようなものでした。

師匠が掃除が苦手というのは他のイベントでも語られていましたが、散らかった庵をみて怒る主人公に対して「まずいな...」とか「俺は年長者だぞ」とか言う師匠が本編とはうって変わってポンコツ感があって可愛らしくて大好きです。

あと夜の川でのイベントでもエンディングでも思いましたが、師匠ってむっつりというかなんというか、そういう印象を受けましたね...。いいと思う。

師匠は大人で色々知っているからこそ、きっと今後も無自覚な主人公に悶々とさせられるんだなぁと思うと楽しいですね。カップリングとして見るとこの二人が一番好きかもしれません。

 

信行ルート

師匠と信行様は続けて攻略するのがおすすめというのを見て実際にそうしてみましたが、終わってみると確かにそうだなと。師匠ルートで信行様のことも気になってきていたので、始める前からワクワクしてました。

正体を知られる前までの、冗談っぽく口説いてくるようなところが本当に好きで、言われるたびにめちゃくちゃにときめいていました。忍びだと知られてからはそれまでの態度が一変して冷たく当たられますが、一人称が変わらず僕のままなのが好きです。

 

蛍狩りでの会話に「今に食われてしまいますよ。戦乱の世に棲む、狼にね」というセリフがありますが、師匠の言うように、彼こそ心を食われてしまって苦しんでいるんだなぁと思います。優しくて素直だからこそ、裏切られて傷つき、自分の弱さを責め、兄を妬んで苦しんでいる。信行様の闇は本当に深い。生まれる時代が違ったら、せめて別の立場で信長様に出会っていたら、ここまで苦しまなかったのかなぁと思ったり。本当に幸せになってほしい。

 

信行様が苦しんでいることに気がついた主人公が彼の心に寄り添おうと決めたのに、当の本人が本当に苦しそうに「やめてくれ」と頼むのが聞いていて苦しくてたまりませんでした。

「僕の心に寄り添えとまでは頼んでいない」

 このセリフは本当にずるい。「寄り添えなんて」じゃなくて「寄り添えとまでは」なのが最高に良いと思います。

本当は自分に寄り添ってくれる誰かを必要としていて、主人公が本心で自分に優しくしてくれようとしていることもわかっていて、でもそれは何年もの間、兄を殺すことを考え生きてきた彼を追い詰める要因にもなっている。この時点で目的を果たしても取りやめても彼の心は救われないのかと思うと、もうね...。

 

罪の華エンドで信行様が鳳像に火をつける際に「追い風だ」と呟くんですが、恋愛エンドで見られる織田兄弟の幼少期のエピソードでも「追い風」が出てきて、同じワードなのに全然違うエピソードなのが胸をえぐってきてつらかったです。

幻術にかけられたことで、信行を闇から救おうとしていた主人公も彼と同じく闇にとらわれることとなります。信行は主人公を逃がそうとしてくれましたが、主人公は自ら信行と共にいることを望むんですよね。共依存

冷たい言葉もぶつけてくるけど寂しそうな声色で「僕ならたぶん、お前の弱さを受け止められるんだろうよ」とか「だからこそお前が愛しいんだ」とか言ってくるのがまたつらくてボロボロ泣いてました。

 師匠ルート攻略中からずっとこの人はどうやったら幸せになれるんだろう、どうすれば救えるんだろうと考えていたので、他のキャラより苦しくて重たく感じました。

あと「すがってみせてくれないか」とか「応えろよ」とか言われて何かに目覚めそうになった(台無し)

 

恋愛エンドではやっと彼が「織田信行」「信長の弟」ではなくただの「信行」として心穏やかに過ごせるのだと思うとこれもまた泣けた。素直にこちらへの好意を示してくれるのを見て心が温まりました。このあとも幸せに暮らしてほしいと思っています。

 

 

織田兄弟に感情をぐちゃぐちゃにされた数日間だった。

兄様ルートもそろそろ終わりそうなので、クリアしたらまた近いうちに感想をあげます。信行様で何かに目覚めそうになった後に兄様を攻略するの、なんだかよくない気がします。